遺言書でできること④
身分上の事項
①認知
認知していない非摘出子の認知ができます。
②未成年後見人、未成年後見監督人の指定
相続人が未成年の場合、未成年後見人や未成年後見監督人を指定することができます。この場合は、遺言執行者を指定しておきましょう。
遺言の執行に関する事項
①遺言執行者の指定、または第三者への指定の委託
遺言施行者をあらかじめ指定しておくことができます。財産の処分や相続人への分配などを行うため専門知識を持っている行政書士等に依頼することが望ましいです。相続人のうちの一人を指定することも、友人に依頼することもできます。また、適当な人がいない場合などには、第三者に遺言執行者を決めてもらうことを指定することもできます。
遺言執行には、知識が必要で労力もかかりますので、報酬を決めておく必要があります。一般的には相続財産の1~3%くらいです。
その他
①特別受益の持ち戻しの免除
相続人の一部が、被相続人から生前贈与を受けていた場合は、特別受益となります。相続開始後、特別受益は相続財産に組み入れて計算することになりますので、その生前贈与分を相続財産に含めないことを指定することができます。
例えば、
相続人が長男と長女の二人で、長女に2000万円の預金を生前贈与したとします。
贈与後の相続財産が3000万円だった場合、二人が相続すべき財産は5000万円となり、法定相続どおりに相続した場合、ひとり2500万円ですが、生前贈与しているため、長女はすでに受け取った2000万円のほかに500万円を受け取り、長男は2500万円を受け取ります。
①の免除を使った場合は、生前贈与の2000万円は相続財産に含めないこととなるため、3000万円を二人で相続することになり一人1500万円受け取ることになります。結果、長女は生前贈与分と合わせて3500万円受け取ることになり、長男は1500万円を受け取ることになります。ただし、長男には遺留分がありますから、これを侵害しないようにしなければなりません。この場合長男の遺留分は、5000万円の「二分の一」の「二分の一」、つまり「四分の一」の1250万円ですから、この事例の場合は遺留分の侵害にはなりません。
②祭祀を主催すべき者の指定
葬儀や埋葬を行う人を指定することができます。相続人が認知症や障碍者である場合は、親族などがいない場合、それらの手続きを行う人を指定することができます。
遺言執行者には、財産等の分割を依頼し、祭祀を主催すべき者には葬儀等の手続きを任せることも可能です。