遺言書の保管
遺言書はどうやって、どこに保管?
どうやって保管するか
遺言書は、絶対に封筒に入れて保管しなければならないかというと、そうではありません。法的には封筒に入れて封緘しなければならないとは定められていないからです。
それでも、偽造・変造などを防止するために封筒に入れて封印することをお勧めします。理由は、偽造・変造を防止するためと紛失しないためです。
遺言書一枚だけだと、ほかの書類に紛れて所在不明になってしまうこともあります。
一般的な角封筒で構いませんので、自書した遺言書を入れます。
次に、封筒をノリ(セロハンテープやホチキスは不可です)で容易にはがれないように貼り付けます。
貼り付けた後、封筒のつなぎ目に自筆遺言で使用した印鑑で封印をします。
これは、もし開封された場合に容易に開封の痕跡を探しやすくするためです。
封筒の表面には「遺言書」と書きます。
裏面には、
「遺言書は、開封せずに家庭裁判所の検認を受けてください」と書きます。
相続人が遺言書を見つけた場合、慌てていたり、知識がなかったりして開封してしまうことがあります。開封したからと言って無効になるわけではありませんが、
「遺言書を提出することを怠り、その検認を経ないで遺言を執行し、又は家庭裁判所外においてその開封をした者は、五万円以下の過料に処する。」
という法律がありますので、このような注意書きを書いておくとよいでしょう。
遺言書を封印する理由の一つに、法律上「封印のある遺言書は、家庭裁判所において相続人又はその代理人の立会いがなければ、開封することができない。」と定められていますので、封印することをお勧めします。
注意書きの左に、作成日、遺言者の氏名を書いておきましょう。
最近では、「夫婦で遺言書を書く」ということも行われていますので、だれの遺言書なのかを明確にする必要があります。
どこに保管する?
よく聞くのは、仏壇や箪笥、書棚などですが、容易に見つからないところに保管するのは本末転倒です。せっかく作成した遺言書を見つけてもらえず、自分の意思どおりにならなかったのでは、遺言書を書いた意味がありません。
信頼できる親族や友人に遺言書の場所を知らせておく、遺言執行者に伝えておくなどの方法が確実だと思われます。
偽造・変造を心配するのであれば、銀行の貸金庫に保管する方法もありますが、銀行の規定により、相続開始後に貸金庫を開くためには相続人全員の同意書が必要となります。
自宅においておくのも、貸金庫に保管するのも心配な方は、「法務局保管制度」を利用するとよいでしょう。
遺言書自体は、自分で書きますが、法務局で保管してもらえるので、相続人に「遺言書を書いた」ことを伝えても変造・偽造の心配はありませんし、遺言書を見つけてもらえないということもなくなります。
次回は、「法務局保管制度」について、もう少し詳しく解説します。