法定相続情報一覧図のメリット・デメリット
法定相続情報一覧図を活用してできる手続きの例を挙げてみます。
〇法務局での不動産の名義変更
〇預貯金の払い戻し、名義変更
〇株式、投資信託などの名義変更
〇相続した自動車や船の名義変更
〇税務署での相続税申告、納税
法定相続情報一覧図を作成するとどのようなメリットがあるのでしょうか。
【メリット】
①複数の相続手続きを同時に進められる
法定相続情報一覧図は、複数枚発行してもらうことができます。
なので、不動産の登記は長男が、銀行預金等の解約は長女が、などと同時に手続きをすることができます。
短時間で手続きを行いたい、などの場合に手分けして手続きができるため時間の短縮につながります。
ただし、他の相続人の同意が必要な場合は同意書が必要ですし、印鑑証明書を省略することはできません。
②戸籍謄本の束を持ち歩かなくて済む
戸籍謄本の束を持ち歩く場合、かさ張ることはもちろんなのですが、手続きの先々で確認する必要があるため、思いのほか時間がかかります。
法定相続情報一覧図は、戸籍謄本等の内容を確認する必要がないのでスムーズに手続きができます。
③無料で利用できる
法定相続情報一覧図の発行手数料は無料です。戸籍謄本等を複数枚取得して、それぞれが遺産分割協議書を作成する場合費用が掛かりますが、
戸籍謄本等を一組取得すれば作成できるため、余分な費用の節約になります。
④5年間法務局で保管される
亡くなられた方の財産を確認するのは、大変なことです。特に、遺言書がない場合や、普段生活を共にしていない場合など、取引先の金融機関などがわからないこともあります。
相続の手続きが終わってから、取引がないと思っていた銀行などから、通知が来てはじめて取引がわかることもありますし、最近はネットでの取引も行われていますので、通帳などがなくネット上だけで取引がされている場合もあります。あとから分かった場合でも、5年間は法務局で保管されるため、改めて戸籍謄本等を収集する必要がありません。
⑤申請は代理でも可能
法定相続一覧図を作成するためには、戸籍謄本等の収集が必要になりますが、相続人が多ければ多いほど、また、相続人との関係が遠ければ遠いほど戸籍謄本等の収集は難しくなります。
自分で収集するのが難しい場合は、行政書士等に依頼すれば書類の取得や何をすればよいかなど丁寧に説明してくれますので、利用することも検討しましょう。
【デメリット】
①相続相続情報一覧図だけでは手続きできない場合もあります
法定相続情報一覧図は、あくまでも戸籍謄本等の代わりになるものです。ですから、印鑑証明書の省略はできません。
②この制度が使えない場合もあります
この制度に対応していない金融機関や証券会社等では使用できません。
③戸籍謄本等の省略ができない場合もあります
また、相続放棄をする際の申述書を提出する場合や、遺産分割協議書を作成する場合なども戸籍謄本等の省略はできません。
しかしながら、遺産分割協議書を作成しない場合で、個々の銀行の所定の様式に相続人の同意をもらえれば問題はありません。