よくわかる公的年金講座⑤ 60歳以上の方の働き方
雇用保険の失業給付と年金は同時に受けられるの?
特別支給の老齢厚生年金などの65歳になるまでの老齢年金と雇用保険の失業給付は、同時には受けられません。
さらに、厚生年金保険の被保険者の方で、年金を受けている方が雇用保険の高年齢雇用継続給付を受けられるときは、在職による年金の支給停止に加えて、年金の一部が支給停止されます。
雇用保険の失業給付(基本手当)との調整
ハローワークで求職の申込を行った日の属する月の翌月から失業給付の受給期間が経過した日の属する月まで、年金が全額支給停止されます。
失業給付と年金との調整の例
要するに、求職の申込を行ったのが4月で150日間の基本手当を受給した場合、5月から9月までの年金が全額支給停止されるということです。
基本手当を受給するか、年金を受給するかを迷っている方は、ご自分の特別支給の老齢厚生年金がいつからもらえるかをしっかり把握しましょう。
ただし、退職後に基本手当をもらうためには「再就職の意思、能力があるにもかかわらず、職業に就くことが出来ない状態であること」というものがあります。退職すれば必ず受け取れるものではないことに注意が必要です。
損得で考えるのではなく、自分に働く意思があるかどうかをよく自分自身に問いかけてみることも必要です。
そうは言っても、働く意思はあるけれど「定年退職後ちょっとは休みたい」というのも本音かもしれません。
失業手当がもらえる「受給期間」には、「会社を退職した日の翌日から1年間」という有効期限が設けられています。
が、申請をすることで「受給期間を延長」することができます。
退職事由が「定年退職」の人は、申請することで受給期間を2年にすることが出来るのです。定年退職の場合、最大の失業給付日数は330日ですから、
退職後に受給期間の延長を行い、1年後に再就職活動を行う事で、330日の失業給付の申請が可能です。
詳しくは、年金事務所や社会保険労務士にお尋ねください。
雇用保険の高年齢雇用継続給付との調整
雇用保険の高年齢雇用継続給付とは、雇用保険の被保険者期間が5年以上ある60歳以上65歳未満の雇用保険保被保険者に対して、賃金額が60歳到達時の75%未満となった方を対象に、最高で賃金額の15%に相当する額を支給するものです。
厚生年金保険の被保険者の方で、特別支給の老齢厚生年金などの65歳になるまでの老齢年金を受けている方が雇用保険の高年齢雇用継続給付(高年齢雇用継続給付金・高年齢再就職給付金)を受けられるときは、在職による年金に支給停止に加えて年金の一部が支給停止されます。
支給停止される年金額は、最高で賃金(標準報酬月額)の6%にあたる金額です。
高年齢再就職給付金とは
雇用保険の基本手当(失業手当)を受給した後、60歳以降に再就職して、再就職後の各月に支払われる賃金が基本手当の基準となった賃金月額(賃金日額×30日)の75%未満に低下した場合に、下記の条件をすべて満たしていれば支給される給付金です。
・60歳以上65歳未満で再就職した一般被保険者であること
・60歳到達まで、通算5年以上雇用保険の一般被保険者であったこと
・再就職する前に雇用保険の基本手当等を受給し、その受給期間内に再就職した場合
・再就職した日の前日までの基本手当の支給残日数が100日以上あること
・再就職の際に、再就職手当を受給していないこと
高年齢求職者給付金
高年齢被保険者が失業した場合、一般の雇用保険の被保険者の場合と異なり、被保険者であった機関に応じ、基本手当日額の30日分または50日分に相当する高年齢求職者給付が支給されます。
※高年齢被保険者とは、65歳以上の被保険者であって、短期雇用特例被保険者や日雇労働被保険者とならない人をいいます。