個人事業主の相続対策
個人事業主の相続ってどうすればよいのでしょうか
近年、個人事業主の高齢化が進んでいます。
中小企業では、1995年の経営者年齢の山(中央値)は47歳だったのが、20年後の2015年には66歳と高齢化しています。現在ではこれがさらに進み、経営者年齢のピークは70歳前後まで上がっていることが予想されます。
日本の中小企業は後継者への事業継承が緊急の課題となっています。
個人事業主は、法人よりも、取引先や顧客との信頼関係で経営が成り立っていたり、土地、建物などの資産が事業主の個人名義になっていたりするなどの課題が複雑にからみ合っているケースが多々あります。
個人事業を営んでいる方には、是非、遺言書を書いていただきたいのですが、まずは、事業継承を進める方法を簡単にまとめました。
個人事業主の事業承継
個人事業主の事業承継は、主に家族・親族に引き継ぐ贈与か相続、または他人に譲渡(売買)するM&Aの3つに分けられます。
1.贈与
個人事業主が家族や親族などに生前贈与として事業譲渡をおこなうことができます。
贈与による事業継承には、子ども・兄弟などの家族・親族への「親族内事業承継」と従業員・知人など他人への「親族外事業承継」があります。
どちらでも、相手の意思を確認し、事業に関する教育をする必要があります。
業種にもよりますが、経営理念を十分伝えることや、技術を伝えること、取引先との関係など計画的に引きついていく必要があります。
そのうえで、他の推定相続人にも配慮した遺言書を書く必要があります。
2.相続
個人事業主が亡くなり、相続で預貯金や不動産、機械設備、売掛金、商品といった相続財産を後継者が引き継ぎます。
相続による事業承継で遺言がない場合は、相続人の中から遺産分割協議によって事業継承者を決めます。
急な逝去によって後継者が育っていなかったり、後継の意思がない場合もあります。
事業継承に時間がかかることもあり得ます。
3.M&A
個人事業主が事業譲渡する対価として、金銭を受け取る方法で親族以外の他人に事業承継します。
M&Aに関する資料は、中小企業庁のホームページを確認してみましょう。
これまでM&Aに対しては、かつては、「身売り」、「マネーゲーム」といったマイナスイメージがありましたが、
近年では、M&Aによる事業の維持、譲受け先の事業との融合による飛躍などプラス面が注目され、事業承継の一つの
在り方として認知されています。