会社設立の流れを解説③
会社設立の流れを解説③
会社設立の流れ
1 会社名を決める
2 会社の発起人や役員を決める
3 会社の印章を作る
4 本店所在地を決める
5 資本金額・発行可能株式数を決める
6 公告の方法を決める
7 事業年度を決める
8 会社の目的を決める
9 定款を作成する
10 資本金を準備する
11 法務局への提出書類を準備する
1 会社名を決める
会社名のことを商号といいます。会社の顔となる名称ですから、慎重に決めましょう。
株式会社の場合は、○○株式会社、株式会社○○のように必ず「株式会社」という文字を入れなければなりません。
社会一般的に知名度の高い会社の商号を使用することは認められません。
同一住所に同一の商号は使用できないため、管轄法務局内で同一の商号がないか調べておく必要があります。
2 会社の発起人や役員を決める
会社設立にあたっては、「発起人」が必要です。※他の方法もありますが、一般的ではないため省略
発起人とは、設立時発行株式の引受人であり、設立に関する事務を行う人のことをいいます。
発起人は、一人でも複数人でも構いません。
発起人は、会社の定款を作成し、それに署名をします。
出資が完了した後、「設立時取締役」を選任します。
会社の組織の機関設計を見てみましょう。
ア 株主総会+取締役
一人会社や会社規模が小さく、機動性の高い組織にしたい場合に適しています。
イ 株主総会+取締役会+監査役
所有と経営の分離により、経営を専門家に任せる場合に適しています。
ウ 株主総会+取締役会+監査役会
規模が比較的大きな会社の場合の機関設計です。
取締役の任期は、原則2年ですが、定款により10年まで伸長することができます。
取締役の交代をしない場合であっても、任期満了前に重任の登記が必要です。
3 会社の印章を作る
会社の印章は、1つでも構いませんが、用途に分けて3種類作成するのが一般的です。
ア 法務局への登記をする印章:法務局への届出のほか、融資などの重要な事項にのみ使用します。法務局に届出をした印章に対して印鑑カードが発行されます。
印鑑カードは、会社の印鑑証明書を取得するのに必要です。
イ 銀行印:銀行の口座開設をする際に使用します。
銀行通帳には、副印鑑が押印されないため銀行印を別に作成しておく方がよいでしょう。
ウ 業務用の印章:業務用の印章は、請求書・見積書・領収書などの事務に使用する印章です。
印章の保管管理を徹底しましょう。
4 本店所在地を決める
拠点となる場所を本店所在地とすることが多いですが、拠点となる店舗等ではなく社長の自宅とすることもできます。
許認可事業を行う場合は、本店の要件が定められていますので、社長の自宅は不適当とみなされることがありますので注意が必要です。
本店の要件としては、執務の場所が定められていること、居室を通らずに執務場所に行くことができること、などがあります。
定款に記載する本店所在地は、最小行政区画(札幌市白石区 など)でも構いませんが、登記申請の際には住所の詳細が必要です。
記載方法は、○条○丁目○番○号
○条○丁目○番○号 ○○ビル1階
○条○丁目○番○号 ○○ビル1階201号室
のどれでも構いませんが、郵便物が届くようにしておきましょう。
5 資本金額・発行可能株式数を決める
資本金額は、最低1円からですが、社会的信用度が低いため取引に支障をきたす可能性があります。
一般的には、3か月分の運転資金と給与を担保できる金額が望ましいといえます。
事業目的によっては、資本金の額をクリアしておいた方がよい場合もあります。
許認可の資本要件の例
ア 建設業許可(一般):500万円
イ 労働者派遣業:2000万円以上
ウ 第1種貨物利用運送事業:300万円以上
発行可能株式数は、会社設立時に必要です。
一般的には、1株当たり500円、1000円、1万円などです。
それを資本金で割ると、発行株式数になります。
増資などの予定がある場合は余力を持っておいたほうがよいでしょう。
例
資本金300万円 一株当たりの額面1万円 発行株式数300株 発行可能株式数1000株
最近では株券を発行しないとさだめている企業が多いようです。
6 公告の方法を決める
公告とは、決算報告のほか、会社法に定める一定の変更があった場合に公表しなければならない義務のことです。
一定の変更とは、合併公告、吸収分割公告、新設分割公告、組織変更公告、資本金及び準備金の額の減少公告、解散公告などをいいます。
公告の方法には、「官報」「日刊新聞紙」「電子公告」などの方法があります。
ア 官報:国としての作用に関わる事柄の広報および公告を行う機関紙です。掲載の申込は「官報販売所」や「インターネット版官報」に申し込みます。
料金は1行(22字)3,263円×行数+税です。(令和4年1月1日現在)
決算公告の場合は、概ね7万5千円程度です。出典:国立印刷局官報s_guide.pdf (npb.go.jp)
イ 日刊新聞紙:掲載方法は官報と同様ですが、料金は概ね30万円以上とされています。
ウ 電子公告:自社のHPに掲載することによって公告を行うことができます。事前に法務局へのURLの登記が必要です。
決算公告は、全文を5年間掲載しなければなりませんが、料金は特段かかりません。
法定公告の場合は、「電子公告調査機関」に依頼して公告が適切に行われたかどうかの調査と法務大臣への報告を行います。
電子公告調査機関への費用がかかります。電子公告調査機関は、法務省のホームページに掲載されています。
7~11は、1月26日以降掲載します。