よくわかる公的年金講座④在職老齢年金

在職老齢年金とは

70歳未満の方が会社に就職し厚生年金保険に加入した場合や、70歳以上の方が厚生年金保険の適用事業所に努めた場合には、老齢厚生年金の額と給与や賞与の額(総報酬月額相当額)に応じて、年金の一部または全部が支給停止となる場合があります。

減額されて支給される年金のことを在職老齢年金といいます。

在職老齢年金により年金が支給停止されている方が退職した場合

厚生年金保険に加入しながら老齢厚生年金を受けている70歳未満の方が、退職して1か月を経過したときは、退職した翌月分の年金額から見直されます。

・年金額の一部または全部支給停止がなくなり、全額支給されます。

・年金額に反映されていない退職までの厚生年金保険に加入していた期間を追加して、年金額の再計算が行われます。

60歳以上65歳未満の場合の在職老齢年金

フローチャートを見る前に、用語の整理をしておきましょう。

基本月額:加給年金額を除いた特別支給の老齢厚生(退職共済)年金の月額

総報酬月額相当額:(その月の標準報酬月額)+(その月以前1年間の標準賞与額の合計)÷12

加給年金:加給年金は、特別支給の老齢厚生年金を受給することになったけれど、配偶者はまだ年金がもらえないことから、家族手当のようなイメージで受給者に支給されます。配偶者に支給したいけれども、年金をもらっていないので受給者に支払うということです。ですから、配偶者が65歳になって公的年金を受給できるようになった場合は、振替加算は停止され、配偶者に振替加算として支給されます。(金額はそのままではありません。あくまでも考え方です)

この考え方は、厚生年金保険に加入している夫と専業主婦である配偶者をイメージして構築されていると考えてよいでしょう。ですから、近年のように配偶者である妻も厚生年金保険に20年以上加入している場合は振替加算は支給されません。

原則、厚生年金保険の被保険者期間が20年以上ある方が、65歳到達時点(または定額部分支給開始年齢に到達した時点)で、その方に生計を維持されている配偶者または子がいるときに加算されます。昭和36年4月2日以降生まれの男性は、原則、65歳から老齢厚生年金が支給されますので加給年金は支給されません。(44年以上の勤続年数があるなどの例外があります)

配偶者は65歳未満であることが要件です。子は、18歳到達年度の末日までの間の子または1級・2級の障害の状態にある20歳未満の子をいいます。

特別支給の老齢厚生年金:年金制度は改正を繰り返しており、現在の老齢厚生年金の支給年齢は原則65歳です。しかしながら、年金制度の改正には、受給者の生活がかかっていることから、相当の年数をかけて経過措置がとられます。このため、男性は昭和36年4月1日までに生まれた人は65歳よりも前に特別支給の老齢厚生年金が支給されます。女性は賃金額の基準が低いなどの理由で5年遅れとなっていますので、昭和41年4月1日までに生まれた人は65歳よりも前に特別支給の老齢厚生年金が支給されます。

標準報酬月額:会社に勤める人が会社から支給される基本給のほか、役付手当、通勤手当、残業手当などの各種手当を加えた1ケ月の総支給額(臨時に支払われるものや3カ月を超える期間ごとに受ける賞与等を除いたもの)を「報酬月額」といいます。報酬月額を保険料額表の1等級(8万8千円)から32等級(65万円)までの32等級に分け、その等級に該当する金額のことを「標準報酬月額」といいます。被保険者の「標準報酬月額」は、事業主から提出された届書に基づき日本年金機構(年金事務所)が決定します。

標準賞与額:標準賞与額とは、実際の税引き前の賞与の額から1千円未満の端数を切り捨てたもので、支給1回(同じ月に2回以上支給されたときは合算)につき、150万円が上限となります。

ここで、掲載している内容は一般的な内容です。年金制度は複雑なためさまざまな例外がありますので、疑問に思った方は年金事務所や社会保険労務士などにご相談ください。

60歳台前半の在職老齢年金の計算方法のフローチャート

60歳台前半の在職老齢年金の計算方法のフローチャートの画像

在職老齢年金による調整後の年金支給月額の計算式

・基本月額と総報酬月額相当額の合計額が28万円以下の場合
全額支給

・総報酬月額相当額が47万円以下で基本月額が28万円以下の場合 【計算方法1】
基本月額-(総報酬月額相当額+基本月額-28万円)÷2

・総報酬月額相当額が47万円以下で基本月額が28万円超の場合 【計算方法2】
基本月額-総報酬月額相当額÷2

・総報酬月額相当額が47万円超で基本月額が28万円以下の場合 【計算方法3】
基本月額-{(47万円+基本月額-28万円)÷2+(総報酬月額相当額-47万円)}

・総報酬月額相当額が47万円超で基本月額が28万円超の場合 【計算方法4】
基本月額-{47万円÷2+(総報酬月額相当額-47万円)}

留意事項

  • 厚生年金基金に加入していた期間がある場合は、厚生年金基金に加入しなかったと仮定して計算した老齢厚生年金の年金額をもとに基本月額を算出します。
  • 厚生年金基金加入期間がある人の年金は、老齢厚生年金のうち報酬比例部分の一部が代行部分として厚生年金基金から支払われます。このため、在職老齢年金の停止額を計算するにあたっては、代行部分を国が支払うべき年金額とみなして、基本月額を算出します。
  • 年金支給月額がマイナスになる場合は、年金は全額支給停止となり、加給年金額も支給停止となります。(リンクは日本年金機構)

65歳以上の在職老齢年金

65歳以上70歳未満の方が厚生年金保険の被保険者であるときに、65歳から支給される老齢厚生年金は、受給されている老齢厚生年金の基本月額と総報酬月額相当額に応じて年金額が支給停止となる場合があります。
なお、平成19年4月以降に70歳に達した方が、70歳以降も厚生年金適用事業所に勤務されている場合は、厚生年金保険の被保険者ではありませんが、65歳以上の方と同様の在職中による支給停止が行われます。

65歳以降の在職老齢年金の計算方法のフローチャート

65歳以後の在職老齢年金の計算方法のフローチャート

在職老齢年金による調整後の年金支給月額の計算式

・基本月額と総報酬月額相当額との合計が47万円以下の場合
全額支給

・基本月額と総報酬月額相当額との合計が47万円を超える場合
基本月額-(基本月額+総報酬月額相当額-47万円)÷2

留意事項

  • 厚生年金基金に加入していた期間がある場合は、厚生年金基金に加入しなかったと仮定して計算した老齢厚生年金の年金額をもとに基本月額を算出します。
  • 厚生年金基金加入期間がある人の年金は、老齢厚生年金のうち報酬比例部分の一部が代行部分として厚生年金基金から支払われます。このため、在職老齢年金の停止額を計算するにあたっては、代行部分を国が支払うべき年金額とみなして、基本月額を算出します。
  • 年金支給月額がマイナスになる場合は、老齢厚生年金(加給年金額を含む)は全額支給停止となります。
  • 老齢基礎年金および経過的加算額は全額支給となります。(リンクは日本年金機構)
  • 70歳以上の方については、厚生年金保険の被保険者ではありませんので、保険料負担はありません。

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